経済学修士残酷物語

東京の経済学修士のブログ。自分の専攻や統計学から最近読んだ本や雑記まで

カフェインは創造性を向上させない?

ちょっとした健康オタクとしてカフェインの効用について時々調べているが、最近気になる論文を見つけた:プレスリリース論文。 どうやらこの論文によれば、カフェインは問題解決や意思決定といった"正解"に近づくような認知タスク(convergent thinking)の効率を上げる一方で、ブレインストーミングのような発散的思考(divergent thinking)に関しては特にサポートしないらしい。

一般に、カフェインは集中力や記憶力といった認知的機能や運動パフォーマンスを向上させることが知られている*1。 また、アデノシン受容体と結合することによって、神経のリラックスとそれによる眠気の発生を防ぐ効果もある。気合を入れたいときのお供には最適というわけで、試験前の大学生やハードワークのビジネスパーソンはコーヒーやエナジードリンクを愛飲していることが多い。まあ、タイトルを見てこの記事をクリックした方には言うまでもないことかもしれない。

かくいう自分も、毎日必ずコーヒーを飲む程度には常用している。頻繁に摂取するとカフェインの効きが鈍くなるので一日一杯に留めたり、夕方以降は飲まないようにするなど、ちょっとした工夫もしている。

そういう経験を振り返ってみると、確かにカフェインを摂った直後は目の前の課題にぐっと集中できるのだが、創造性や発想力が必要な状況でカフェインの効用を実感した記憶はないかもしれない。

神経科学系の作法に詳しくはないのだが、該当論文は

  • サンプルサイズ88
  • 統制群にはプラセボ薬を投下したRCT

で検証しているようなので、結果はそれなりに信用できそうだ。

というわけで、午後からハードな問題解決を行うときには従来通りにコーヒーを飲む一方で、創造性を発揮したい場合は何か別の手立てを考えたほうが良いかもしれない。